"三鷹GN-40"移設大作戦(搬出編)
- Orthoscopic13
- 2020年12月11日
- 読了時間: 2分
2016年、熊本地震。
震度6~7の揺れが複数回にわたり発生しました。
熊本空港そばにある、
"東海大学宇宙情報センター"
震源地からも近く甚大な被害を受けました。

研究施設として立ち並ぶパラボラアンテナ群も大きな被害を受け、
施設の復旧が難しい状況が続いていました。
その一角にはこの天体観測ドームもありました。

地震のダメージによりドーム回転機構が破損。
現在は動かなくなった天文台です。

ドーム内にはまだ稼動する"三鷹光器GN-40"

施設全体の復旧が難しい状況が続く中で、
一連の地震で最も被害が大きかったとされる、
"東海大学阿蘇キャンパス"がこの地に移設されることが決定しました。
残念ながら既存の宇宙関連施設は年内の取り壊しが決まりました。

そんな中、
無傷だった"三鷹光器GN-40"だけでも救出しようと、
尽力された大学関係者の方々からご依頼をいただきお手伝いに伺いました。
搬出に際し、分解できるパーツを取り除きます。

銘板は大切に。

学生さんたちも搬出作業を手伝ってくれました。

あらかじめ40cm主鏡は分離しておきます。

さらに赤道儀から鏡筒を分離し吊り上げます。

ドームが回転できないため、
クレーンからは遠い位置にある開口部でしたが、

スリット等に接触せず無事に搬出成功。

続いて赤道儀も搬出成功。

三鷹の曲線美にキズをつけることなく一安心。。

搬出後、主を支えてきたステージはどことなく寂しい。

非常に残念ですがドームと建物は取り壊しとなります。

一方、
救出した望遠鏡と赤道儀はそれぞれ、

保管場所に移されました。

長年、
研究用途として使用されてきたこの"三鷹光器GN-40"。
近隣に新たな観測施設を用意し、
その中に移設される予定となっています。
今度は、
地元の方々や東海大学生さんたちに、
"天体観測を楽しんでもらえる新たな天文台"
として生まれ変わることになります。
望遠鏡保管場所の近くには、
"旧阿蘇キャンパス"があります。

現在は熊本地震の"震災遺構"として一般公開されています。
搬出作業の後に見学させていただきました。

校舎を通り抜けて隆起した断層や、

当時のままの校舎のリアルな様子に、

地震の怖さを体感するとともに、
日常のありがたさを再認識させられました。
建設予定の新天文台が、
少しでも被災された方々の安らぎとなれば幸いです。
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