鏡筒メンテナンス 2021年3月のまとめとお知らせ

更新日:2021年5月22日

春のうららを感じるヒマもなく、、、

例年にも増してあわただしく過ごした年度末でした。。。🌸

しかしお仕事をいただける事はありがたいことです!感謝!!


天文台への出張業務と並行し、

今月も様々な鏡筒のメンテナンス依頼をいただきました。

少しですがその内容をご紹介をさせていただきます。

一部の機材マニアの方に向けたニッチな連載です。

ご興味のある方のみ(?)お読みいただければ幸いです。

 
☆タカハシ FC-100 x2台

"タカハシFC-100"は、2台まとめてご依頼をいただきました。

ダブルエントリーシステムです。


並べてみると同じライトグレー塗装でも色味の違いがあります。

製作年による塗料の仕様か、、、、それとも外的要因による色味の変化か、、、、

ついつい考えてしまします。。


今回は2台オーバーホールのご依頼でしたので作業も同時進行します。

まずは接眼部の分解から始めます。


劣化グリスの洗浄。

並べてまとめて進めたほうが1台ずつより効率は上がります。


ピント調整ピニオンシャフトの曲がり(上のシャフト)を確認しました。

動作は可能でしたが、操作時のトルクに偏りが生じていました。


ユーザー様と相談しパーツ交換を行うことに。

タカハシ現行品と共通パーツでしたので新品(下のシャフト)と交換しました。

※部品交換は別途お見積りです。


続いて対物レンズのメンテナンス。レンズ全面に"くもり"の症状がみられます。


なにやら指で触ったような跡が見受けられます。内面のコート劣化と予想します。


分解してレンズ面を洗浄してみます。


多少"くもり"は残りましたが、ある程度の透明度改善がみられました。

タカハシFCシリーズの場合、このような"くもり症状"は主に第一レンズ(前玉:ガラスレンズ)のコート劣化による場合が多い印象です。反対に、第二レンズ(後玉:フローライト)はノンコートであるためほとんど劣化はみられない。ケースbyケースですが、トミタでは再研磨などの修繕対応は基本的にお受けしておりません。外観からは透明度改善がみられたとしても像面劣化や両レンズのマッチングが崩れたりと、光学性能の面での悪影響が懸念されるためです。。

やむを得ない経年劣化とお捉えください。


 
☆MEADE LX200-20cm(UHTC)

"MEADE社LXシリーズ"の中では"最小口径モデル"。

口径20cm、口径比はお決まりのF/10です。


歴史あるLXシリーズ。この"UHTCモデル"ではミラーロック機構が実装されています。

何らかの原因で噛みついてしまったようで主鏡の摺動(すなわちピント動作)がまったくできない状態になっていました。


ロック機構自体はシンプルな仕組みです。

分解することで症状は改善し、幸いロック機構や主鏡周りに損傷もみられませんでした。


オーバーホールでのご依頼でしたので合わせて主鏡や各光学系の洗浄を行います。閉鎖鏡筒のためホコリや汚れに付着は少ないですが、閉鎖鏡筒ゆえの湿気やくもりの付着は危険な場合があります。


組み込み、光軸調整、星像点検を行いました。不具合の出ていたピント操作とロック機構もスムーズにに動作確認できました。UHTCが輝きます。


 
☆タカハシ TSA-120

こちらは"うぶやま天文台"の屈折鏡筒。

年度末のリニューアル時に対物レンズのオーバーホール依頼をいただきました。


リニューアルの様子はコチラ。


表面の汚れ付着はもとより、ここ最近になってレンズ内面に"くもり"の症状が現れたそうです。何度も申しますが湿気やくもりは早めに対処しないと致命的な劣化になりかねません。


分解を試みます。鏡筒からセルごと取り外した様子。"TripletSuperApochromat"では、セル周りの光軸調整ネジは省略されていてスマートな印象です。小型化と軽量化とが図られています。光軸調整は錫箔分離によるメーカーアジャストです。


問題のくもり症状です。第二レンズ(スーパーED)両面に付着がみられました。ライトを当ててみるとまるで謎の文様が浮かび上がってきたかのようです。


洗浄、組み込み後の様子です。3枚玉の分解調整は神経を使いました💦

気になるレンズの状況ですが、軽度のコート劣化はみられましたが性能に大きく影響する程度ではなく、画像の通り外観からもほぼ目立たなくなりました。

同様の症状がみられた場合にはお早めに対処されることをお勧めいたします。


 
☆最後にお知らせ

2021年1月から新規受け入れを休止しておりました"鏡筒メンテナンス"ですが4月より再開とさせていただきます。


休止期間中にも多数のお問い合わせをいただきご迷惑をおかけいたしました。


まだ、完全にバックオーダーが消化できたわけではなく、納期の面では万全な体制とは言えないのですが、ご依頼をいただいた機材にはできるだけ早急に対応するよう努めてまいります。


ご依頼やお見積りは今まで通り、