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"ナナロク"の日。



7月6日は"ナナロクの日"

非公式ではありますがそう呼ばせていただいております。


FC-76とは。
 

天文業界人で機材に詳しい方なら知らない人はいないはず。


"ナナロク"の愛称で、

長く天文ファンから親しまれている、

タカハシ製作所の天体望遠鏡"FC-76(エフシーナナロク)"です。


最初の発売は1981年(約40年前)。

FCシリーズの口径76mmモデルとして登場しました。


"FCシリーズ"

を少し説明すると、

タカハシの代名詞ともいえるフローライト(蛍石)レンズを使用した、

2枚玉アポクロマート光学系屈折望遠鏡です。


そのネーミングの由来は、

"F"はFluorite、"C"はConpact

ハイフン"-"を挟んでレンズ有効径を表す"mm数"が末につきます。


フローライトレンズを外気に触れにくい後玉に配置していることが大きな特徴。

シリーズはFナンバー"8"前後に統一されており、

アクロマート屈折時代では難しいとされていた短焦点設計。


色収差の問題はフローライトレンズの採用によりクリア。

写真撮影にも有利なコンパクト鏡筒となり当時のヒット製品です。


他にFC-50、FC-65、FC-100、FC-125などのラインナップがあり、

派生モデルとしてより写真撮影に特化した3枚玉"FCTシリーズ"も後に登場しました。


唯一の弱点が対物レンズの"クモリ症状"。

ノンコートのフローライトレンズは高い透明性を保っている場合がほとんどですが、

相玉ガラスレンズのモノコートが経年により劣化。


画像のように全面にクモリが付着したような状態になり、

見え方(像のコントラスト等)にも影響が出る場合があります。


こうなると正直、研磨や再コートなどの対処が難しい症状です。。。



その後、

1990年代の後期モデル(ライトグリーン塗装)にはコーティング技術が進歩。

フローライトも含む2枚玉対物レンズ、

その4面すべてにマルチコートが施されるようになります。


画像はありませんが、

この後期モデルでは初期型のようなクモリ症状はほぼみられなくなります。


取りまわしやすいサイズ感と高い眼視(目で見て楽しむ観測)性能。

豊富な撮影用アダプターも準備され対応力の高い撮影鏡筒。


使い勝手のいいマルチな魅力で人気を博した"ナナロク"でしたが、

1992年ごろのFCシリーズ終了と同時に販売終了。


その後、後継となるFSシリーズへその座を受け渡しました。


帰ってきたナナロク。
 

復活を希望するユーザーの声が多かったのか…!?

真相は確認したわけではありません。


2012年。

実に20年ぶり!"FC-76"が再販されました。



しかも新たな"FC-76"にはデジタル対応"D"の名が付与されました。

注)某海賊"D"の一族ではありません。


後玉フローライトの伝統設計はそのままに青ハロを軽減。

近年のデジタル撮影にも対応、

パワーアップした光学性能で帰ってきたわけです。


『帰ってきたニュー"ナナロク"。』


少し紹介しましょう。

対物レンズは全面マルチコート。

少し明るくなったF/7.5。


地味なところですが錫箔が光路にかかりにくくなっているところも改善ポイント。

回折による不自然さが軽減されているようです。


画像はフード固定式の"FC-76DCU"と"旧FC-76"の比較。


セル周りの光軸調整機構が省略された分、

旧型との比較では一目でわかるほどスリムに。

タカハシ蛍マークは変わらずなところが嬉しい。

"Fluorite"の飾り文字はかわいいフォントにアレンジ。


FC-76DCUについては、

筒中央付近の黒いラインのところで分割可能。

遠征時などに荷物をコンパクトにまとめることが可能。


接眼部も塗装カラーは変わったものの機構はほぼ変わらず。

タカハシ伝統の鋳造接眼部とラック&ピニオン式はそのまま。


個体ごとにシリアルナンバーが刻印された銘板のデザインは好みが分かれるところ。


このように光学系に現代風のアレンジが加えられたもの、

基本的なモデルは旧FC-76を踏襲。

当時からのファンにとっても嬉しいポイントではないでしょうか。


さらに使いやすく各所改良が入ったニューナナロクに、

「死角ほぼなし」。


現在のラインナップ
 


デジタル時代に復活した現在の"FC-76D"

ラインナップは2種。


フード固定式。鏡筒分割可能。

スリムでコンパクトな"FC-76DCU"


スライドフード。2インチスリーブ対応。

幅広いアクセサリーに対応できる"FC-76DS"


両者の光学系は共通仕様ですが、

外径、重量、細部の仕様に異なる点があります。

使い勝手に応じて選べる仕様。


さらに、

専用補正レンズのラインナップで眼視~撮影と広がる可能性。


眼視性能をさらに高めるエクステンダーは用途に応じて2タイプ。

"エクステンダー CQ1.7x" (FC-76DCUのみ)。


フルサイズ写野に対応した2種の補正レンズ。


※お取り寄せ商品の納期については確認後の連絡となります。



ナナロクまとめ
 


いかがでしたか?


最初の発売から実に40年。

その時代に合わせて進化を遂げてきた"FC-76"。


現在のタカハシ製品ラインナップでは、

眼視性能を極めた"TSA""TOA"。

フォトビジュアルに特化した"FSQ"。


エントリーモデルに位置する"FC-76"ではありますが、

タカハシのアイデンティティが詰まった伝統のある"ナナロク"の魅力は、

今なお多くのタカハシユーザーに愛されています。


同じ名称でこれだけ息の長い望遠鏡は他では存在しないと思いますし、

おそらくこれから先にも現れることはないと思います。


そんな"ナナロク"に敬意をこめて。。。


7月6日を勝手に"ナナロクの日"と呼ばせていただきます。



 

※月刊星ナビ2019年10月号「タカハシ屈折望遠鏡大全」を参考にさせていただきました。




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