【メンテ】シーズン・イン・ザ・カビ・2022
さあ今年も梅雨の季節がやってきました!
『梅雨時期=レンズカビリスクが高まるシーズン。』
読者のみな様に注意喚起の意味も含め、
今年一年のメンテナンスで出会った新たなレンズカビ事例をピックアップしてご紹介。
題して"レンズカビコレクション2022夏"
今年はレンズメンテナンスを行った後の状態写真も掲載しています。
画像横スクロールであわせてご確認ください。。
そして後半では、
梅雨時期の長期休業前にやっておきたい、
簡単なメンテナンス方法をご紹介。
保管前の対策をしっかり行って、
"ストップ・ザ・カビ!"
梅雨のシーズンを乗り切りましょう!!
レンズカビコレクション2022夏
※画像横スクロールでメンテナンス後の状態写真が確認できます。
"セレストロンC8"
シュミットカセグレン補正板、そして主鏡、副鏡にカビの付着がみられました。
筒内に着いたクモの巣も除去し、光学面清掃後はキレイな状態に。
"タカハシFS-102"
先代FCシリーズから改良された前玉凸フローライトレンズ設計。
フローライトにもマルチコートが施されているためカビが発生しています。
各レンズ面に付着したカビ。さらに筒内にも白い斑点がみられました。
レンズコーティングに少し劣化が残るものの実用可能レベルまで回復。
"MEADE ETX-105"
コンパクト長焦点&自動導入が売りのETXシリーズ。
光学系は筒先に補正メニスカスレンズを配置したマクストフカセグレンです。
手前の補正レンズに注目しがちですが、
奥にある目立ちにくい主鏡の方が重症でした。
"Vixen VMC200L 補正レンズ"
ビクセンのカタディオプトリック"VMC"は、
副鏡前に補正レンズが配置されています。
外からはなかなか気づきにくいこともあり目が細かくびっしりと。
深くは張っていなかったようでコーティングへのダメージが軽度だったのが幸い。
"タカハシ FCT-76用レデューサー"
カビが広がる様子にはいつもなにかの情景を感じます。
今回のケースでは片側からの広がりをみせていました。
メンテを実施した時期がちょうど春先だったこともあり、
まるで桜が枝を広げるような情景を思わせてくれました。
"タカハシFC-100"
最後にご紹介する"FC-100"
マルチコートが施された前玉凹ガラスレンズには複数のカビが確認できます。
一方でノンコート後玉凸フローライトレンズは表面もらいカビ程度の状態でした。
同じ鏡室内でも顕著な差があり、コーティングに付着しやすいカビの特性を表していました。
カビは払拭しましたが残念ながらガラスレンズ側のコートには劣化が生じていました。
この症例では、
マゼンタ系のマルチ反射色と広がる菌糸の対比があまりに美しかったので、
今回冒頭のレコードジャケット風カバー画像に使用させていただきました。
なお「ザ・コリメーションズ」は架空のバンド名です。
梅雨時の保管前にできるお手入れ方法~レンズ編~
上向きで使用することが多い望遠鏡のレンズにはホコリやチリが堆積します。
ですが観測後はすぐにキャップを閉めてしまいガチ。
レンズ面に観測中の夜露など付着していると閉鎖された状態で湿度があがり、
カビ発生リスクが高まります。
まずは遮光フードからレンズの状態をのぞいてみてみましょう!
見えにくい場合は筒先から照明を当ててみます。
表面にホコリやチリを見つけたらハンドブロワーで吹き飛ばします。
あまり強い風はレンズによくないので軽~く吹きかける感じです。
付着物すべてを吹き飛ばすことはむずかしいと思いますが、
ホコリが付着した最初の状態よりもカビ発生リスクはかなり軽減されます!
さらに上級者はレンズペーパーなどでレンズ面を軽く拭きとってみましょう。
レンズに触れるのは必ずハンドブロワーで粗方のホコリを吹き飛ばした後です。
この時、可能ならフードを取り外すと作業がしやすくなります。
私が使ってるレンズお手入れグッズの一例です。
クリーニング用ペーパーに洗浄液を含ませてレンズ面を拭き取ります。
"ブロワー→レンズ用精製水→無水エタノール→最後にブロワー"の順がおすすめ。
手袋は特になんでもいいですが毛羽立ちにくいものの方が良いように思います。
『キズ発生リスクが伴いますのでレンズ面清掃は腕に自信がある方のみ行ってください。』
『汚れを上手く拭きとらないと拭きムラとなりレンズ面に残りますのでご注意ください。』
『レンズに触れる場合は自己責任でお願いします。』
梅雨時の保管前にできるお手入れ方法~簡単編~
「やっぱレンズメンテはちょっとハードル高いな~。」
という方には以下の方法がおすすめです!
お手入れ方法簡単編は望遠鏡の外側を"FU.KU.DA.KE!"
気づいたら鏡筒の外観に、
画像のような斑模様を見かけたことはありませんか??
実はこれも全部カビナンデス!!
放っておくとレンズにも広がる可能性"大"!!
ここまでの状態になる前に日頃からお手入れをしておきましょう。
方法は簡単。
柔らかめのタオルか雑巾を用意。
先ほどレンズメンテで紹介した精製水で軽く湿らせます。
(濡らしすぎない様、霧吹きなどで吹きかける程度がちょうどいい)
あとは外観を軽~く拭き取るだけ!
カビや汚れは水分によりキレ~イに落ちます。
一通り汚れがとれたなら。
市販のメラニンスポンジを用意。
軽く濡らした状態で円を描く感じで軽くこすってみましょう。
キズに入り込んだ汚れなども取り除くことができます。
※塗装状態によっては劣化する場合がありますので、目立たないところで必ずテストして下さい。
清掃完了!!けっこうキレイになりました✨
一度キレイにしていくと細かな汚れも気になってくるもの。
お掃除モードのスイッチが入った方はお試しください。
望遠鏡を持ち運ぶ時には手あか。
保管してたりするとホコリ。
これらはカビの養分となります。
ここに夜露や湿気などの水分が加わることで、
外観にもカビ発生リスクが高まるわけです。
望遠鏡を長期保管するときには、
なるべくキレイにした状態で休ませてあげてください。
※簡単編のお手入れ方法は旧トミタブログ2020年5月の記事でも紹介した内容です。
それでもカビはやってくる....
ここまでしっかり対策を行っていたとしても、
気づいたらレンズにポッと顔出してこっち見てるのがレンズカビ。
私自身も何度か驚かされたことがあります(;^ω^)
「さすがにちょっと手に負えないなぁ~~」と、
そんな時には、
天文ハウスTOMITAメンテナンス部までお早めにご相談ください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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